SimuAudio 問題No3の解説
- 純音聴力検査シミュレーションソフトウェアSimuAudio 問題No3の解説ページです。
- 本問は低音障害型感音難聴のオージオグラムですが、正確な閾値を確定するのは必ずしも容易でないことが理解できます。
- 問題No1・No2の解説を読まれていることを前提としています。
1.マスキング無しでの両側気導閾値の測定
- マスキング無し(Mask OFF)の状態で両側の気導聴力閾値を測定します。
2.マスキング無しでの両側骨導閾値の測定
- マスキング無し(Mask OFF)の状態で両側の骨導聴力閾値を測定します。
3.マスキング下での右側骨導閾値の測定
- 安全なマスキングレベルの目安(水色の点滅)を参考に行ったところです注。
- 250Hz, 500Hzにおいてマスキング不足(左側での陰影聴取)となることが分かります。
- これはマスキング音圧を5dB増加させると反応が消える事から予想が付きます。
- まず500Hzでマスキングレベルを5dBずつ上げて測定します。
- マスキングレベルを上げても反応が消えなくなったところを閾値とします。
- 右骨導が対側(左)骨導より悪いのが分かっているのでこのレベルでオーバーマスキングとなる心配はありません。
同様に250Hzでもマスキングレベルを上げていきます。
骨導閾値が気導より悪くなって来ますが間違いではありません。
500Hz同様にマスキングレベルを上げても反応が消えなくなったところを閾値として確定します。
下は正解のプロフィールを表示したものです、プラトー法の一部(閾値が上昇から水平に移行する部分)を行っていることになります。
骨導閾値を確定すると、気導の方が閾値が低くなっています。
ということは気導閾値は間違いであり、気導マスキングが必要となります。
4.マスキング下での右側気導閾値の測定
- 500Hz以下でマスキングが必要のようです(インジケータ点灯)。
- まず250Hz, 500Hzにマスキングをかけて確定します。
- 125Hzはインジケータが点灯しません(備考:骨導値の手がかりが無いため甘くなる)が、近隣の周波数と同様の状態が考えられるためマスキングして見ます。
- 感音難聴の場合には気導でオーバーマスキングとなる危険性は低いので近隣の周波数同様に行えば大丈夫でしょう。。
注 安全なマスキングレベルの目安も気導マスキングのプロンプトも単なる「目安」に過ぎず、絶対的なものではありません。
これらの詳細については下記の参考文献を御参照下さい。
- 日本聴覚医学会(編):聴覚検査の実際(改訂3版).南山堂,東京,2009
- 服部 浩:図解実用的マスキングの手引き(第4版).中山書店,東京,2009
- 服部 浩:基本的聴覚検査マニュアル(第3版).金芳堂,京都,2010