SimuAudio 問題No14・15の解説
- 純音聴力検査シミュレーションソフトウェアSimuAudio 問題No14・15の解説ページです。
- 問14・15は一側のみ気骨導差(AB gap)が大きなケースです
- 問14は気骨導差が最大に近いもの、問15は完全に最大である場合であり、ここでは問15を解説します。
- 問題No1〜No13の解説を読まれていることを前提としています。
1.マスキング無しでの両側気導・骨導閾値の測定
- マスキング無し(Mask OFF)の状態で両側の気導・骨導聴力閾値を測定します。
2.マスキング下での左側骨導閾値の測定
- 右の気導の方が良いので、左の骨導でまず1,000Hzで安全なマスキングレベルから徐々に上げて行きますが、閾値もそれに連れて上昇し、確定ができません。
- 骨導マスキングプロフィールを表示(正解表示)してみると、両側ともにプラトーは無く、閾値確定は不可能です。
- 他の周波数でも同様な結果となり、両側の気骨導差が最大の場合、骨導閾値確定が困難なことが分かります。
- 問14では所々骨導閾値確定が(ギリギリ)できる部分がありますが、難しいことに変わりはありません。
3.気導マスキングプロフィールによる検討
- 一側だけ気骨導差が大きい場合には気導マスキングプロフィールが有効な場合があります(文献参照)。
- オーバーマスキングとなるマスキング雑音レベルを見て判定します。
- 下図では左が50dB超のマスキングで右より先にオーバーマスキングとなるので、マスキング無しの骨導閾値は左側のものと判断されます。
- 右が80dB超のマスキングでオーバーマスキングとなるので、骨導閾値はこれより気導の両耳間移行減衰量(50dB)を引いたもの(30dB)と推定されます。
参考文献
- 服部 浩:基本的聴覚検査マニュアル(第3版).金芳堂,京都,2010
- 伊藤 健:純音聴力検査の深淵―モデルに基づく再探検への誘い.耳鼻咽喉科・頭頸部外科 84巻9号(2012.08)P.609-617